これまで、ポジション移動の導入について記してきました。
これより、音階でのポジション移動において、補助音(中間音)を利用していく方法の紹介となります。
専門的には、「中間音」が正しい名前ですが、あえて私は「補助音」と呼んでいます。
ポジション移動に補助的に使うものであり、「補助音」の名前の方が生徒に意図が伝わるからです。
小野アンナ著ヴァイオリン音階教本P.11~14には、下りに補助音を入れて練習するやり方が記載されています。
この補助音を、2オクターブ・3オクターブスケール、3度、6度、8度、フィンガードオクターブでも利用すれば、確実なポジション移動の訓練ができます。
指導のポイントは、これまで述べてきたポジション毎の手の形、親指先行・手首先行に補助音を組み合わせることです。
小野アンナ著ヴァイオリン音階教本P.11
Change of the 1st, 3rd and 5th Position
※jimdoページ上では音声と映像に時差があります。YouTubeページからのご視聴をお勧めします。
第1ポジション
↓ 手首の角度はそのままで上がり、ヴァイオリンの肩に手のひらを付ける
第3ポジション
↓ 上りの手首先行
第5ポジション
↓ 下りの手首先行 補助音を入れる
第3ポジション
↓ 下りは親指先行 補助音を入れる
第1ポジション
ポジション移動で軸になるのは、第1・3・5ポジションです。
小野アンナは、半分以上が第1~3~5~7ポジションの指使いです。
基礎構築には最適な教本と言えます。
小野アンナ著 ヴァイオリン音階教本 P.12
Change of the 2nd, 4th and 6th Position
※時差無しをご覧になるにはこちら。
第2ポジションから第4ポジションに上がるときには、手首を内側に入れてから(手首先行)上がります。
偶数ポジションは音程が取りにくいため、奇数ポジションが軸になるのです。
これも、手首先行・親指先行・補助音によってメカニック的に手が動くように訓練します。
小野アンナ著 ヴァイオリン音階教本 P.13
Change of the 3rd, 5th and 7th Position
※時差無しをご覧になるにはこちら。
補助音は、ポジション移動する直前の指を使います。
上記はすべて1指ですが、分散和音では他の指になることもあります。
以上が、基本的な補助音と親指先行・手首先行を組み合わせた動きです。
これらをすべての音階練習で応用していきます。(上級者が使用するカール・フレッシュ音階教本でも応用します。)
曲に出てくるパッセージなどは、音階の断片です。
左手の技術的なことの8割は、音階で解決できます。
逆の言い方をすれば、音階が弾ければ曲も弾けるのです。
以前より何回も述べていますが、音階学習は必要不可欠なものです。
上記の手の動きを無意識にできるようなるまで訓練すれば、メカニック的なポジション移動、確実なテクニックが身につきます。
参考文献:カール・フレッシュ/ヴァイオリン演奏の技法 上巻 P.29~40
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