読譜ができているかいないかは、進度に大きく関わります。
特に初期のレッスンでは、ぜひ視唱を多く取り入れるといいでしょう。
限られたレッスン時間の中で、ヴァイオリンの教材の他に、視唱のためにソルフェージュの教材を無理に使う必要はありません。
ヴァイオリンの教材で視唱し、リズム打ちをするだけでも効果が上がります。
呉暁先生の本にもありますが、『歌うことはすべての基本』です。
ピアノと違って、ヴァイオリンのような自分で音程を作り出す楽器は、歌った印象のままに楽器を弾いてしまいます。
歌が音痴ならば、ヴァイオリンも音痴になります。
また、初めて習う楽器がヴァイオリンの場合、子供はもとより大人でも楽譜が読めないことがあります。
楽譜が読めないのは、文盲と同じです。
楽譜を読む訓練をしないで来た大人は、子供より苦労します。
楽譜が読めないまま教材を進めてしまったら、1・2年と持たずに挫折してしまいます。
視唱する際、教材には絶対にドレミの記入をしないようにしましょう。
ドレミを記入してしまうと、音符を読まずに記入されたドレミ(文字)を読み、訓練になりません。
ですが、楽譜をコピーし、ドレミを記入し、読めるようになってきたら、まっさらな楽譜で視唱するという方法もあります。
大人の人が歌うのを恥ずかしがったりする場合は、教師も一緒に歌うといいでしょう。
私も大人の方とは、いつも楽しく一緒に歌っています。
ちょっとしたコツですが、一緒に歌う際には、生徒より、ほんの少し遅れて歌ってください。
こうすれば、生徒が正しくドレミを歌えているか、チェックできます。
最初は教師が大きく歌って生徒を引っ張っていってもいいですが、それでは生徒が教師の声にぶら下がることになるので、様子を見ながら、歌ったり、または一緒に歌わなかったりしてあたかもゲームをしているようにすると楽しいでしょう。
また、リズム感に問題あり、と思われる場合は、メトロノームを駆使します。
電子のものではなく、振り子のメトロノームを使い、カチコチ鳴るタイミングに合わせて、手を叩きます。
タイミングが合うと、メトロノームの音が消えます。
これによって、タイミングを計ること、同じ速さ、テンポ感をつけることができます。
小さな子供の場合、先生も親御さんも読譜は根気強くやりましょう。
間違えても決して怒らないで!
平仮名もろくに読めていない小さな子にとって、楽譜は退屈な図形にしか見えないのです。
一緒に視唱しながら、今歌っているところを指しながら歌ってください。
それだけで、子供は楽譜が左から右へと読むのだなと理解できます。
まだ平仮名もろく読めていない小さな子供には、歌詞のついた教材が向いています。
ピアノの教材ですが、「プレピアノランド①」は読譜、リズム、さらには左手のトレーニングにもなる良書です。
導入に使うと、後々が楽になります。
子供の発達には個人差があります。
物凄く理解力がある子がいれば、こちらの言葉の意味がわからず、ぼんやりとしている子もいます。
呉先生の本にもありますが、チンパンジーの調教師になったつもりで、常に子供の状態を観察し、子供が飽きそうになったら、別のことをやります。
ヴァイオリンを弾くことと、歌うこと、リズム打ちをすることを織り交ぜてレッスンしてください。
いつかできるようになる、と信じていれば、大抵のことは気長にできます。
教育は忍耐です。
’15年2月1日改稿