インターネットに奏法・練習法を公開するに至ったひとつの理由が、効率的なポジション移動についてです。
習う人にとっても、指導においても、ポジション移動はひとつの大きな壁です。
そのヒントになればと思いました。
ピアノは視覚的に音を確認できますが、ヴァイオリンは感覚的に音を作っていく楽器です。
私は「探り弾き」と呼んでいるのですが、ポジション毎の手の形を理解できずにいると、音を探って音程が定まらず、なんとも言えない音で弾いている人がいます。
身体にポジション毎の手の形を覚えていけば、音の跳躍が毎回ギャンブルにならなくなります。
そのためには、訓練する必要があります。
ポジション移動に入る前提として、ヴァイオリンの持ち方や構え がある程度安定していることが条件です。
例えば、指が寝ている 、ネックに手のひらがついた癖 が取れていないままにポジション移動を始めると、後々大変な苦労をすることになります。
・第3ポジションでは、手のひらをヴァイオリンの肩につける。
第3ポジション以上は手のひらが、楽器に触れる。
・第3ポジション以上から、第2ポジション以下に降りる時は、親指が先行する。
・第3ポジションから第3ポジション以上に上がるときは、手首が先行する。
・第4ポジション以上から、第3ポジションに下りるときは、手首が先行し、親指は後で修正する。
簡単に文字にすると、上記にようになります。
これより、動画、画像で説明いたします。
ポジション移動を導入で使う教材は、鈴木鎮一著「ポジションエチュード」です。
まずは、第1ポジションの「無窮動」で、手の形と音程の安定を図り、その後に、第2ポジションへと指導します。
この左手の形と音程の安定には、不器用な生徒で2・3ヶ月、人によってはもっとかかります。
ポジション移動は、曲でポジション移動が出てきてから学習を始めるのではなく、事前に学習した方が良いです。
曲で要求されるテクニック的なことは、前倒しで学習すれば、曲で実践するときの戸惑いが少なくなります。
遅くとも、鈴木の教本で言えば、2巻の「二人のてき弾兵」までにはd-mollの音階を学習し、その前後にはポジションエチュードを開始、3巻でのポジション移動に備えます。
4巻のヴィヴァルディでは第3ポジションまでしか使いませんが、この時点では、第3ポジション以上を指導し、2オクターブの音階を学習していることが理想的かと考えます。
’15年2月1日改稿
鈴木指導曲集副教材 ポジショ... |