ツイッターでvofitftuavvnnさんからご質問を頂きました。
ありがとうございます。
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Q
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みな3度の重音は苦手だと思います。
フレッシュのスケール本でいつもそこでつまづいてしまうのですが、(それこそ中学生時代から)3度の重音を克服するのは繰り返し練習しかないのでしょうか?留意点等、御教示願えれば幸いです。
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A
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3度スケールの克服を、とのことですが、まず、なぜ3度スケールが難しいのでしょうか。
その大きな理由は3つあります。
①指のシフトが難しいから。
②ポジション毎の手の角度と指の角度の連携。
③5度調弦であるが故の音程の修正が必要であること。
まず、①の指のシフトの問題について。
5度は隣り合わせの指使いであり、3度は一番弱い4指と動きにくい2指のシフトがあることにあります。
これには指の強化が必要不可欠です。
同時に2音を鳴らしながら、微妙な音程を修正していくには、指の筋力が必要になります。
筋力と言っても、握力測定器で計られるようなものではなく、ヴァイオリンを弾くための筋力です。
指の筋肉は複雑に入り組んでいます。
ヴァイオリンで必要とされるのは指をスライドさせる横に動かす筋力が必要です。
筋力を向上させるのに、とても良い練習法があります。
ザハール・ブロン著「エチュードの技法」P.19に3度の指の筋力向上のための練習が載っています。
とても効果的な練習法です。
一日一回、第1ポジションと第3ポジションでそれぞれ練習するだけでかなりの効果があがります。
この19ページの最後に、
「開放弦或いは開放弦を土台にして作られる完全音程(1・4・5・8度)を基に、音程の確認を心掛けよう」
との記述があります。
ここからは、③の音程の問題についての記述となります。(②については、こちら の補助音(中間音)を利用した練習法をご参考にされてください。)
以前、「【Q&A】調弦は純正調 ?」のところでも述べましたが、ヴァイオリンは5度調弦であるが故の音程の調整が必要になってきます。
音階を弾く際にぜひ利用したいのが、開放弦との共鳴音を利用した音程の取り方です。
まず、3度スケールの最初の和音、CEを弾く際に開放弦Gに合わせたEにするか、開放弦Eに合わせたEにするか。
これは、へマン著「弦楽器のイントネーション」P.36からの転載です。
GにEを合わるEは低くなります。
これはCとDの開放弦には低すぎます。そこで「!」のマークがついています。
次に、Eを開放弦Eに合わせた場合。(CはGの開放弦に合わせます)
前述に比べてEを高めにとることになります。
以降、括弧書きで開放弦との共鳴が記されているのをご参考になさってください。
開放弦に音程を合わせて調整していけば、楽器が豊かに響きます。
普段、3度音階をお弾きになる際、純正な響き・・・うねりがない状態を目指して弾くようになさっていると思います。
そして、根音となるCにEの音程を合わせていくと思います。
それでいくと、フレッシュの音階教本ですとスタートは良くても開放弦を含むシフトがきた時に、高過ぎ、または低すぎになり、「なんだか気持ち悪いなあ」という状態になっているのではないでしょうか。
もちろん、根音が中心となってスケールを弾くのですが、開放弦との若干の調整をしていく感覚を持てれば、多少の矛盾に対応していけます。
この5度調弦の音程の矛盾に気が付いているだけでも、音階を弾く心構えが変わってきます。
また、より楽器を響かせるために、へマン著の本には、「特別音」とされている倍音がなります。
詳しくはお読みください。
また、ちょっとした練習ですが、指のシフトを両方取りながら、根音だけ拾って弾く方法もあります。
これは、重音を弾いたときのメロディラインを耳で追う訓練になります。
どのスケール、3度にしても、6度にしても、和声的に響く方法として、共鳴音を利用した音程の調整はとても有効です。
もっと突っ込んだ返答をするならば、音程はピタゴラスコンマで取り、旋律的、または和声的な場面では純正な響きを作ることを目指すべきでしょう。(へマン著の本にはピタゴラスコンマについての実践が記載されていますので、ご興味があればお読みください)
しかし、趣味の範囲であり、現状からより良い響きを目指すのであれば、開放弦を土台とした響きを作るようにされると、良い効果が得られると考えます。
このような返答になりましたがいかがでしょうか。
フレッシュのスケールを学習されているとのこと、上級の範囲にいらっしゃることと存じます。
この回答がご参考になれば幸いです。
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